記憶力の悪い俺の頭の中にも、しっかり刻まれた日付がある。

この一週間、何を贈ったらいいかな、何をプレゼントしたら喜んでくれるかなって色々考えて、ずっとそわそわして落ち着かなかった。友達に誕生日のプレゼントをするなんて、自慢できる事じゃないけど、実のところ俺には生まれて初めてだ。
去年の今頃は入学したばかりで、山本の誕生日なんて知らなかった。遠くで、眩しいなって山本を眺めながらもそれだけで、話したことだってなかった気がする。それを思い返すとちょっと笑いがこみ上げた。リボーンが来て、色々大騒動な毎日が訪れて、俺の世界はほんとに急旋回したんだなって。山本と親友になれて、矢継ぎ早に楽しいことや、大変なことや、嬉しいことが一杯あって――、そして怖いことや悲しいこともあって。それでも、まだ山本は俺の横にいてくれる。

小走りに玄関を飛び出して、どきどきする心を抑えて向かう先は花屋だ。友達の誕生日に花束なんて変かなとも思うんだけど、お祝いとありがとうの気持ちをそのまま形にしたみたいな、そんなきれいで明るいものを山本に贈りたかった。
イメージカラーは空の色と太陽の色、財布の中身と相談しながら、店員さんにイメージを伝えながら。できあがった花束を、おめでとうの言葉と一緒に明日の朝一番、君に渡すよ。
大切な人にプレゼントを贈ることの幸せを、教えてくれた君に。


ありったけの感謝を込めて。


















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